低血糖とは、血糖値が下がりすぎている状態の事。糖尿病の人が陥りやすい。でもそうでない人でもなる。食事で糖分を摂るとブドウ糖というエネルギー源となり、小腸から吸収されて血液に入り全身に行き渡る。膵臓から出るインシュリンのお陰で血糖値は安定している。ところがそのインシュリンが過剰に分泌されたり、糖尿病の治療でインシュリンを過剰に摂取すると低血糖になる。無論、極度の空腹や糖質抜きダイエットをやりすぎると低血糖になる。
一日の中で血糖値は40~140㎎/dlの間で変動する。平均すると100mg/dl。
70を切ると、手や指が震える、汗をかく、不安な気持ちになる、というような症状が出る。
50を切ると、集中力の低下、生あくび、目のかすみなどの症状。
さらに30を切ると、けいれん、異常な行動、昏睡状態に陥り、こうなると自力では対処できない。
糖尿病の治療薬以外でも、反応性低血糖というのもある。これは食後に血糖値が上がってインシュリンが出るのだが、その効き目のピークが遅れ食後2~3時間以降も血糖値が下がり続けてしまう現象の事。要はお腹が空いてるのにも関わらず、追い込みをかけるようにインシュリンが効いてしまう状態。そのため余計に血糖値がさがってしまうのだ。反応性低血糖は、食べていない時間が長く続いた後にごはんやパン、麺類などの主食を短時間かつ大量に食べるとなりやすい。1日2食や1食の方、糖質制限を始めて糖質の摂取が減った際に急に糖質を摂ったという方も注意が必要。
要は、食べてない時間が長い→インシュリンの出る量が減る→急速に糖質を摂る→インシュリンの分泌が追い付かない→長くインシュリンが出て血糖値を下げ続ける、という流れ。
もしも反応低血糖で、インシュリンのコントロールが難しい時はインシュリンを抑える薬を飲む方法もある。
生活面で気を付ける事を以下に挙げる。
・主食の前に食物繊維の多い野菜から食べる
・時間をかけて食事する
・玄米やライ麦パンなど色のついた主食を食べる
・過度な糖質制限はしない
・早食いしない
・健康診断を受ける
・日常生活に支障が出ているなら病院に行く事
低血糖はインシュリノーマという腫瘍が膵臓に出来る事でも起きる。膵臓に腫瘍ができることでインシュリンが誤作動を起こすのだ。
重症な低血糖を起こすと認知症のリスクが上がる傾向にある事がアメリカの研究で分かっている。
重症低血糖になった回数1回→1.26倍 2回→1.8倍 3回以上→1.94倍
※Whitmer RA et JAMA 2009
糖尿病の人が低血糖の症状を感じたらブドウ糖10g、ブドウ糖を含む清涼飲料水150~200ml、砂糖20gのいずれかを摂る。すると5分くらいで良くなる。それでだめなら10~15分後にもう一度先程の量を摂取するとよい。心配ならば外出時、タブレットなどでブドウ糖や砂糖水を持ち歩くと良い。最近では粉末状のブドウ糖を粘膜から吸収する点鼻薬もある。ただしこれは低血糖を起こし意識がない方に対して周りの人が行うもの。もしも家族や友人で糖尿病の方がいて、一緒に外出する時があったら気に留めておいた方が本人も周りも安心だと思う。