暖かいリビングからお風呂に入るために寒い脱衣所で服を脱ぐと血圧が上がる。そして寒い浴室に裸で入るとさらに血圧が上がる。そこから暖かい湯船に入ると血管が拡張して血圧が急激に下がる。この血圧の急上昇と急降下のジェットコースターは身体に多大なる影響を及ぼす。これにより身体がダメージを受ける事をヒートショックという。
ヒートショックで気を付けなくてはならないのは主に心臓と脳だ。
寒さで心臓を栄養している冠動脈が過剰収縮して心不全、心筋梗塞を起こす事がある。心筋梗塞に陥ると経験したことのない胸の痛みが現れるという。その他にも、顎の痛み、左肩の痛み、息苦しさなどの症状が出る。もしもお風呂に入った際にこのような症状が出たらすぐに入浴を止めて、救急相談窓口に電話すべきだ。
ヒートショックは脳卒中のリスクも上がる。血管の急な収縮拡張、血圧の急上昇により血管が破れたり、血栓が飛んだりする可能性がある。特に高齢の方や、脳血管疾患、循環器疾患を患っている方は要注意。
そして、湯船で血圧が急下降すると脳貧血を起こす可能性がある。これの恐ろしいのは転倒しての負傷もそうだが、最大の懸念点は「溺死」もありうるということだ。血圧が低下して意識が薄れ、声も出せず、身動きが取れなくなり、死に至る可能性がある。特に心臓病や高血圧、糖尿病の方は注意。
ヒートショックを防ぐための対策を以下に示す。
・脱衣所、浴室を温めておく。
・服を脱ぐ前に浴室をシャワーや湯船の湯気で温める。
・湯船に蓋を半分以上つけておいて、前にもたれかかれるようにしておく。
・浴室内で身体を完全に拭いて出る。
・風呂に入る前は家族に必ず声をかけ、入浴中は家族も声をかける。
・一人暮らしの人は親族や友達に入浴前と後に連絡をする。
・入浴時間は10分以内。風呂温度は41℃くらいにしておく。
・湯船から急に立ち上がらない。
・食後は血圧が下がりやすいため食後の入浴は避ける。
・飲酒後の入浴は言語同断。
・冬は乾燥で脱水しやすい。そのため水分補給を心がける。
もし万が一、ヒートショックになった場合、本人に意識があるなら湯船からの救出を試みる。浮力を利用して自分に背中を向けさせて両脇から手を入れ持ち上げる。そしてタオルで身体を拭いて保温にとにかく努める。あと水分補給。救急車が来るまで意識と呼吸の確認繰り返す事。
浴槽で意識がない状態ならば、まず湯を抜いて即救急車を呼ぶ事。当然、身体を拭く事と保温、水分摂取も行う。