「神経機能改善」とアリナミン

痛みにはいくつか種類がある。同時に、除痛にもいくつかの方法がある。その中で「神経回復、神経機能改善」という除痛の方法があり、これをすると人によって嘘のように症状が楽になる場合がある。

詳しい事は書けないが当院の患者様で長い事、上肢の痛みと痺れに悩まされていた方がいた。当然、複数の医療機関にかかりMRIやレントゲン、血液検査など様々な検査も行っているが、これという確定診断には至ってない。医師からは痛み止めの薬を処方されて飲んでいるが状態は芳しくない。胃を守る薬と合わせて痛み止めを飲めば多少は楽になるが、元々胃が弱いため胃の具合が悪くなる。マッサージや鍼を行うと暫くはいいが、やはりこれも数時間でまた元に戻ってしまう。

そんなような状態から、アリナミンという市販薬というか錠剤を医師から紹介されたそうだ。患者様がご自身でいろいろ試した結果、アリナミンゴールドという最上級グレードのアリナミンが一番よく効いたという。驚く事に、胃の不快感なく上肢の症状が和らぎ、それがマッサージや鍼よりも効果が長く持ったというのだ。

このアリナミンは第三類薬品であり、消炎鎮痛効果のある成分は入っていない。アリナミンは大きく分けて「神経機能改善」と「抗酸化作用」の二つが期待できるというもの。

では一体なぜ効果がでたのか?何が有効成分だったのか考えてみようと思う。

神経機能改善

①フルスルチアミン(ビタミンB1誘導体)

神経伝達を正常化する働きがある。神経の疲労や損傷による痛み、痺れの改善に寄与。特に慢性的な神経痛や末梢神経痛の改善に効果が期待できる成分。

②メコバラミン(ビタミンB12)

神経細胞の再生や修復を助ける作用がある。末梢神経障害神経痛に用いられることが多い。

③ピリドキサールリン酸エステル

神経の機能維持に関与。

抗酸化作用による保護効果

①ビタミンE(コハク酸d-a-トコフェノール)

抗酸化作用が強く細胞膜を酸化ストレスから保護する。酸化ストレスは神経細胞を障害し痛みや痺れを引き起こす一因となる事があるためこれを軽減することで間接的に症状緩和に寄与する。

②γオリザノール

植物由来の抗酸化物質であり、自律神経の調整や抗ストレス作用が知られる。痛みや痺れには自律神経の乱れが関与することもありこれを改善することで症状が和らぐことが考えられる。

上記の成分が相互に作用して神経伝達の効率を改善し神経由来の痛みや痺れを軽減する効果を発揮した可能性がある。痛み止めが効かない場合、消炎鎮痛よりも「神経そのものの機能回復」が重要な概念であり治療方針となる場合もあると思う。

無論、辛い症状がアリナミンで楽になったという減少に関してはプラセボ効果もあるかもしれない。しかし、アリナミンに含まれるビタミンB12は以前にも病院で処方されていたが効果はなかったという。そのため、今回は「神経回復」に重きを置いたアリナミンが症状改善に功を成したのではないかと僕は考える。