今回は長時間デスクワークをされている方で、疲れてくると首の前面が重だるい痛みが出てきて辛くなってくるという症状の方です。
頚の前はあまり触りたくない理由。
首の前面の筋肉と言うものは出来ればあまり触りたくないんですね。
どうしてかというと、頚には頸動脈という太い血管があります。
外、内の二つの頸動脈に分かれますが、その分岐点には頸動脈洞がありそこには頸動脈小体といって高血圧を感知するセンサーがあります。
すなわち、その部位周辺をぐいぐいいじっていると高血圧を間違って感知して、血圧が下がり立ち眩み、眩暈、などの症状が出る事があるからです。
なので、なるべく頸動脈洞周辺すなわち頚部前面は触りたくないのです。
そこを避けていても、その時の体調によってはそのような反応が起こりやすい時もあるので、頚部と言うものはとてもデリケートなのです。
頚の前を触らないで緩める方法。
さて、このようにデリケートな頚の前面が辛いという主訴の患者様にどのように向き合っていくのかという事ですが、まずは筋肉の付着部を緩めていきます。
乳様突起という頚と頭の付け根部分や、顎の周辺、鎖骨の上下部分等です。
あとは、大、小胸筋なども緩めていきます。
さらに、頚の前面を支配しているデルマトーム領域の神経の出口も刺激します。
このようなところの主要な急所に無血刺絡の刺激を加えると、それだけでも軽くなったとおっしゃって頂きました。
家ではどうする。
当院にいらして頂ければそのような形でアプローチをして、離れた所から安全に緩めて症状を改善させる事は出来ます。
ですが、家ではどうすればいいかというところも問題になるわけです。
そこで、頚部前面の等尺性運動を指導させて頂きました。
これは、長田先生が書かれた「自分で出来るチクチク療法」と言う本に載っている首おしくら運動と言うものです。
首を前に倒すと同時に、おでこに手を当てて頚が前に倒れないように力を入れるという簡単な運動です。
等尺性収縮。
首を前に倒したくても手で力を入れて抑えられているので前に倒れません。
すなわち、頚の前面の筋肉は力がかかっているけれど動いていない、筋肉の尺は変わっていないというところから「等尺性運動」といわれます。
この等尺性運動とは、腕や足など筋肉トレーニングをするにしても一番効率よく筋肉お鍛える事が出来る方法です。
たくさん動かすよりもただその場でグーーっと力を入れるだけの方が筋肉はたくさん使われるのです。
これを行うことにより、深部の筋肉に負荷をかけて筋肉ポンプの作用で血の巡りが良くなります。それを利用してピンポイントで筋肉の血流促進を促すのです。
運動をするようにうになってから頚の前面の血流促進が促されて重だるさや痛みが軽くなったと仰っていました。
高血圧の方は注意。
ただこの等尺性運動の注意点があります。
短時間で筋肉に負荷をかけて血流促進効果があるのはいいですが、グッと力を入れた時に血圧が上がります。
なので高齢で高血圧の方や循環器系の疾患をお持ちの方など、割と強い負荷がかかる運動を止められている方は注意が必要です。
この体操を日々行うことで、血流促進の他に頚の周辺の筋力強化、姿勢調節などにも関与すると思います。
それにより症状が起こりにくいお身体を創っていくことが出来ると思います。
頚肩の凝りに対しては鍼や整体が効果的な場合も多いです。
お辛い方は是非、神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へお越しください。