54 必殺仕事人の考察シリーズ。必殺仕事人Ⅴ 組紐屋の竜ハングマン骨折について。

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皆様こんばんは。
今日も必殺シリーズの考察を行っていきます。
今回は、必殺仕事人Ⅴの組紐屋の竜について書いていきます。

竜は、日本橋で組紐職人として生計を立てています。
武家屋敷に行って女中さん達に組紐を売りにいったりと、情報収集も行ったりします。

竜はかなり人気の仕事人で、必殺仕事人といえば竜と思い浮かぶ方も多いと思います。

さて、竜は自分で組んだ戦闘用の組紐で、屋根の上や屋根裏から遠隔で敵の頚を締めるという技を使います。

必殺シリーズの中ではわりと現実的な技を使う仕事人だと思います…。
どうゆうことかというと、心臓を素手で掴んで握り潰したり、脊柱を指で脱臼させたり、とても繊細な三味線の糸一本で成人男性を吊し上げたりなどという技に比べるとまだ、実現可能な領域の方なのかなと思います…。

ただ、竜は敵の頚に紐を絡め、片手で屋根の上に引っ張り上げたりするのでそこを物理的に考えると無理があるかなとは思います(笑)まあ、僕は物理の専門家ではありませんので、ここではあくまで身体のことについて書いていきます。

上記の通り、竜は尖端に鈴がついた組紐を相手の頚めがけて投げ、頚に引っ掻けて締め上げるという技を使います。
竜は元々忍者という設定です。なので、自分自身が屋根の上など敵よりも頭上に位置していて、そこから敵を狙う殺陣が多いです。

なので、竜の場合は敵の頚を締めると同時に敵の身体を上に引っ張るという動作も必然的に行われます。
それにより、敵の頸部には気道及び血管圧迫の他に上方への牽引力が加わります。

頚を締めるという窒息についての人体への影響は以前どこかで説明した…ような記憶があります。
気道圧迫による酸欠。それによる呼吸中枢の停止。血管圧迫により脳への血液供給が遮断。それにより脳細胞が壊死するなどの弊害が起こります。
五分以上呼吸が停まると回復が困難になります。

ということで、窒息だけでも人体に重篤な影響を与えるのです。
しかし、頚を圧迫しその後上方へ引っ張るということにより、もうひとつ懸念される症状があります。

それは、頚の骨の骨折です。
ハングマン骨折といって、西洋の絞首刑から名前が取られている骨折です。

頚のどこが骨折するかというと、軸椎という頚の二番目の骨の椎球根という細く弱い部分です。
ハングマン骨折の発生する力の掛かり方は、頚の過伸展もしくは過屈曲と、牽引です。

要は、おもいっきり上を向くかおもいっきり下を向いた状態、さらにそこから頚が上に引っ張られると起こります。
竜の組紐は、かなり丈夫で三味線の糸と比べると太くて耐久力もあります。
なので、頸椎に対しても力がより強く掛かると思います。

軸椎といわれる頸椎二番目の骨が折れることにより、脊髄を損傷するリスクがあります。
それでも、ハングマン骨折事態は現実世界では発生率は少なく、起こるとしたら交通事故で起こることが多いようです。ハングマン骨折が起こることにより死の確率が高いかというと、そこまでではないようです。

実は頚骨が折れるよりも、頚骨が脱臼するほうが人体にとって危険なのです。
もちろん、骨折もとても大変な怪我です。しかし脊髄損傷ということを考えると、骨が折れて割れるよりも、骨の関節が脱臼によりズレることで脊髄が引っ張られ脊髄を損傷する可能性のほうが高いのです。

頸椎一番の骨は別名環椎といって、丸い輪の形をしています。二番目の軸椎は、歯突起といって出っ張ってます。
その出っ張った歯突起に、輪っかの環椎が合わさり、環軸関節という形になり頚の回旋動作を行っています。

この環軸関節ですが、交通事故の他、上から物が落ちてきて頭に当たるという真上からの強い圧迫力が加わり痛むという発生機序も多いです。

さらに環軸関節の亞脱臼といって、環軸関節がはずれかかることもあります。それは外傷ではなくて、実はリウマチで起こることが多いのです。

リウマチとは自己免疫疾患の一つと考えられており、自分の免役が自分の関節を破壊してしまうという疾患です。
主に手指の関節や、肘、膝、環軸関節などに炎症が起こり、次第に破壊されて関節の形が変形してしまいます。

軸椎の歯突起というでっぱりが炎症によりすり減り、それにより環椎が外れやすくなってしまうのです。

頚骨のトラブルや外傷は、今のそれなりに平和な世の中においても起こることが往々にしてあるのです。
なるべく危険な事は避けて、なにか病気を患ってしまった場合や怪我をしてしまった場合は、然るべき専門医の元治療を受ける事を強くお勧めします。

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