膝内側の痛み。鶩足炎の症例について。

鶩足炎とは、大腿部の筋肉である薄筋、縫工筋、半腱様筋、半膜様筋が付着する下腿上部内側面に、下肢を動かした際に痛みがでるという症状です。原因はランニングや体重の増加、長時間の歩行、スポーツによる下肢への負荷などです。

当院でも鵞足炎の患者様は今まで幾人か施術させて頂いたことがあります。程度にもよりますが出張や旅行で歩きすぎて痛めた方、スポーツで痛めた方などいらっしゃいますが今までは痛みはあることはあるが、生活にとてもとても支障をきたすというレベルの症状ではありませんでした。なので、原因となった事を控えて頂いて、定期的に施術をして経過を診ていくことで症状は自然と改善していきました。

今回の鵞足炎と思われる患者様の膝の症状は割と強く、歩行時(特にもも上げの時)にとても痛むというものでした。半腱様筋、半膜様筋に押圧を加えると痛みはとても楽になるのですが、時間の経過と共に症状が戻ってしまうのですね。一番痛い時から考えると楽にはなってきているとの事ではあるのですが一筋縄ではいかない症状です…。抑えると楽になる関連筋や筋膜、神経血管の急所を緩めたり刺激を入れつつ、痛む患部には抗炎症剤の湿布を貼り、大腿部にバンテージを撒いて急所を手で押圧しているのと似た状態を作り出すなどの方法を取っています。

鵞足炎だけに留まらず、筋肉の付着部での炎症は劇的な症状改善というようにいかない場合も多くあります。例えば上腕骨内外側上顆炎や、オスグットなどの脛骨粗面部の痛みなど。いわゆる骨端部での痛みなのですが、筋肉の先は腱という部分でこの腱は骨にくっ付いています。筋肉が傷んでいるよりも腱が痛んでいる方が治りが悪いです。さらに腱よりも骨端部での骨膜の炎症の方が治りが悪いのです。

効果的に消炎鎮痛剤やバンテージなどを使いつつ、それでもより効果的なポイントはないか、日常生活時の苦痛が少しでも和らぐ方法はないかを臨床家として日々模索し、患者様の辛い症状が一日でも早く良くなるように全力を尽くすのみであると心から思っています。