血液、造血器疾患シリーズ。溶結性貧血について。

皆様こんにちは。

今日は、溶結性貧血について書いていきます。

 

何らかの原因により赤血球の寿命が短縮して起きる貧血の総称の事です。

これには、先天性のものと後天性のものがあります。

 

先天性の溶結性貧血は人口100万人に5,7~20,3人でこのうち、遺伝性球状赤血球症が70~80%を占めます。

後天性溶結性貧血は、自己免疫性溶血性貧血の頻度が高く、人口100万人に3~10人の推定有病率といわれています。

 

成因

溶結性貧血は、赤血球自体に障害があって発症するものと、赤血球外に原因があって発症するものがあります。

前者には、赤血球膜異常、赤血球酵素異常、ヘモグロビン異常などが原因となります。

後者では、赤血球に対する自己抗体ができて自己の赤血球を破壊する自己免疫性溶結性貧血の頻度が高いです。

 

原因別に見た溶結性貧血の種類

 

1 赤血球自体の異常による溶結性貧血

 

先天性

赤血球膜異常→遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症

赤血球酵素異常→G-6PD欠乏症、ビルビン酸キナーゼ欠乏症

※G-6PDとはグルコース6リン酸といって、赤血球の酸化を防ぐ働きをする。

※ビルビン酸キナーゼとは赤血球の機能を維持する役割がある。

ヘモグロビン異常→異常ヘモグロビン症、サラセミア

※サラセミア 人の血色素(ヘモグロビン)は141個のアミノ酸を持つグロビンとアミノ酸を持たない146個のグロビンがある。サラセミアとは、このグロビンの量的異常のことです。ちなみに質的異常を、異常ヘモグロビン症といいます。

 

後天性

赤血球膜補体感受性亢進→発作性夜間血色素尿症

※発作性夜間血色素尿症とは、早朝の赤褐色尿(ヘモグロビン尿)が特徴的な(必ずしも出るわけではない)補体による血管内溶血、骨髄不全および血栓症を主徴とする後天性かつ進行性の血液疾患です。

 

2 赤血球外に原因のある溶結性貧血

・自己抗体  自己免疫性溶血性貧血、寒冷凝集素症、発作性寒冷血色素尿症

・同種抗体  不適合輸血、新生児溶血性疾患

・物理的原因 細血管病変、行軍血色素尿症、人口心臓弁置換、熱傷

・化学的原因 化学薬品、薬物

・その他  血液透析、尿毒症など

 

症状

貧血による症状と、溶血の結果として起きる症状(黄疸、脾腫、胆石症、血尿、腰痛、発熱など)があります。

 

診断

臨床症状として、貧血以外に黄疸、脾腫などの症状がみられます。尿、便検査で尿、便にウロビリノゲンが増加します。

血液検査では、正球性正色素貧血がみられます。遺伝子球状赤血球症では特徴的な赤血球の形態異常がみられます。

標的赤血球、ジョリー小体、ハインツ小体などを認められることもあります。

さらに、網赤血球数が増加しています。血清検査では、間接ビリルビン増加、血清LDH上昇、血清ハプトグロビン低下などの所見がみられます。

骨髄検査では、赤芽球過形成の所見があります。

赤血球寿命を測定すると短縮しているのが特徴です。※赤血球寿命 赤血球の平均寿命は120日です。

 

※標的赤血球  赤血球膜が変化してあたかも弓の標的に見えてくるもの。

※ジョリー小体  赤血球内に核の一部が残存したもの。

※ハインツ小体  赤血球内でヘモグロビンが変性して沈着したもの

※ハプトグロビン  ヘモグロビンと特異的に結合する糖タンパクのこと。

 

治療

遺伝性球状赤血球症に対しては、脾臓摘出術を行うそうです。自己免疫性溶結性貧血には、副腎皮質ステロイド薬などで免疫抑制療法を行います。溶血性貧血全般については必要に応じて赤血球輸血を行います。

 

経過

遺伝性球状赤血球症は、摘脾手術を行えば予後は良好のようです。

…と、教科書には書いていますが、これはなんとも一概には言えないと思います。様々な文献を見て見ると脾臓摘出を医師に勧められたけど、なにもいない状態で大分症状が抑えられている方もいらっしゃいます。逆に、手術で脾臓を摘出したことにより調子が悪くなった方もいらっしゃいます。

しっかりと、専門の医師にみてもらって、なんならセカンドオピニオンは必ず行った方がいいと思います!

 

※脾臓

いくつかの役割があります。

・免疫機能 悪い菌を撃退するリンパ球を成熟させる

・造血機能 胎生期には脾臓で赤血球が作られている。大人になるとその機能は失われるが、大量出血の際や骨髄で血が作られなくなるとまた脾臓で血がつくられる働きが復活する。

・血球の破壊 古くなった赤血球を破壊する作用がある。赤血球の中のヘモグロビンを破壊し、鉄を回収する働きがある。

・血液貯蔵機能 運動時など、筋肉が酸素や血液を欲している時にそんなに多くないけど脾臓に貯めている血液を放出する。

 

 

 

神楽坂 東五軒町鍼灸整骨院より。

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